ビッグバンの旅


 今からビッグバン宇宙をはるか過去へとさかのぼる旅をしたいと思います。目的はまず、宇宙創成の謎を知ること。もうひとつは、時間の起源の秘密を探ることです。そして旅の最終目的地では「実時間」が終わりを告げ、もはや直感的には幾何学は通用せず、「超ひもの幾何学」とでもいうべきものになると考えられます。
 宇宙創成図が円錐形で描かれているのは、高温の小さな「火の玉宇宙」としてはじまったビッグバン宇宙が、膨張し、現在の私たちの宇宙の広さまで広がったことを示しています。ビッグバン宇宙論は宇宙論に興味のある人ならだれでも知っているように、ロシア生まれの物理学者、ジョージ・ガモフの提唱した理論です。この宇宙論は主に2つの観測によって裏付けられています。
 ひとつの観測は、アメリカの天文学者ハッブルによるものです。ハッブルは遠くのいろいろな銀河を観測し、それらから来る光の波長が長くなっている、つまり色が赤いほうに偏移していることを見出し、遠くの銀河が私たちから遠ざかっていることに気付きました。
 光のドップラー効果により近づいてくる光は青い光のほうにずれ、遠ざかる光は赤方偏移するからです。
 ハッブルは銀河の後退速度vとその銀河までの距離rが比例していることを見出しました。それを式で書くとv=Hrとなります。ここでHは「ハッブル定数」と呼ばれている比例係数です。
 このハッブル定数は宇宙の年齢や大きさに目安を与えました。宇宙という巨大システムを理解するうえで、大きな役割を果たしたといえます。
 さて、遠くの銀河ほど速く遠ざかっているということは、逆にたどれば、初期宇宙はほぼ1点から始まったということを示しています。
 こうしてハッブルの観測はビッグバン宇宙論の先駆けとなったのです。もうひとつの観測は、「3K宇宙背景放射」です。3K放射は、火の玉宇宙のいわば最終段階である「宇宙の晴れ上がり」の時期から飛んできたものなのです。これが実際に観測されたことにより、ビッグバン宇宙論は疑いのないものとなったのでした。
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