繰り込みとの出会い


 繰り込み理論とは、次のようなものです。
 まず、いろいろなプロセスのもととなる基本的な過程のことを「素過程」といいます。
それは、電子の伝播、光子の伝播、電子が光子を放出・吸収するといった過程です。
この素過程に現れる電子の質量のことを、量子力学的な補正を受ける前の電子の質量という意味で、「裸の質量」と呼んでいます。
朝永さんらは裸の質量をマイナス無限大にしておけば、紫外発散で現れる無限大と相殺し、電子の実際の質量は有限の値をとることに気付いたのです。
同様に、すべての紫外発散は、素過程にそれと逆符号の無限大の値を与えることによって相殺され、きれいに消えることがわかります。
たとえ話をしてみましょう。電子の伝播中、非常に近距離で光子を放出し、発散が出るということは、裸の電子に光子という外套を何枚も何枚も無限大に重ね着したようなイメージになります。無限大に重ね着すれば、電子の質量は無限大に大きくなってしまう。
そこで朝永さんらは、これを解決するために、裸の質量をマイナス無限大にするというウルトラCの操作をして、重ね着によるプラス無限大を打ち消すようにすれば、全体として有限の重さになる、と考えたわけです。
その後くりこみ理論は、弱い力、強い力のゲージ場の量子論における発散の問題も次々と解決してきました。また、くりこみ理論によって大統一理論まで含めたゲージ場の理論が非常にうまく説明できるようになり、3つの力の統一に大きく貢献しました。

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